クマのベーアさん
『朝陽の森』という森に、一匹のクマさんが住んでいました。
クマさんは、森の生き物たちに【ベーアさん】と呼ばれて、親しまれていました。
しかし、ベーアさんには、一つの悩み事がありました。
ベーアさん以外の、うさぎさんや狐さん達には、家族が沢山いるのに
ベーアさんだけ家族がおらず、ひとりぼっちでした。
昼間は、うさぎさんや狐さん、鹿さんや小鳥さんと遊んでいたので寂しくありませんでしたが、
夜になって、みんなが家族の元へ帰っていくと、ベーアさんはとても寂しくなってしまうのです。
そこで、ベーアさんは考えました。
「どこか、他の森に行けば、ぼくの家族も沢山いるのかも知れない!
よし、決めたぞ!ぼくは家族を探しに行こう。」
そう決めたベーアさん。けれど、ひとつ気が付きました。
「でも、何処へ行けば他の森は見つかるんだろう・・・」
実は、一度も『朝陽の森』から出たことの無かったベーアさん。
「そうだ!物知りのフクロウおばあさんに聞いてみよう」
そう言って、ベーアさんは森一番の物知り、フクロウおばあさんを訪ねました。
「おや、ベーアさんじゃないか。どうしたんだい?」
ベーアさんに気付いたフクロウおばあさんは、座っていた木の上から降りて、
ベーアさんの肩に留まると、そう言いました。
「あのね、フクロウおばあさん。ぼく、聞きたいことがあるんだ」
そう言って、ベーアさんは、家族を捜しに他の森へ行くこと。
その、他の森に行くにはどうすればいいのかを尋ねました。
「家族を捜しに行くのなら・・・ふむ。そうじゃな。『夜明けの森』がよいじゃろ。
あそこには、沢山の動物が暮らしているそうじゃからな
『夜明けの森』へは、この森をでて、ずっと真っ直ぐに行きなさい」
それを聞いたベーアさんは、喜び、早速『夜明けの森へ』行くことにしました。
「フクロウおばあさん、ありがとう!ぼく、行ってみるよ」
『夜明けの森』への道を歩いて、とうとうベーアさんは森の入り口に着きました。
森の入り口には、一匹の鳥さんに会いました。
「こんにちは、鳥さん。ぼくは『朝陽の森』から家族を捜しに来たんだけど、
ここに来れば家族に会えるって聞きました。本当に会えますか?」
鳥さんは、「もちろん」と言ってベーアさんを案内しました。
「ここの木のカーテンをくぐってごらん。家族に会えますよ」
そして、そのまま歌を歌いながらまた森の入り口に飛んで行きました。
「鳥さん、ありがとう!!」
さっそくベーアさんは、木のカーテンをくぐりました。
「うわぁ〜、すごいや!」
カーテンをくぐると、そこには本当にベーアさんの家族が暮らしていました。
ベーアさんは喜んで、たくさんの家族の元へと走っていきました。
ここでこのお話は終わりです。
でも、ベーアさんはこの後ずっとこの森で、家族と一緒に暮らしたそうですよ。
。。。。。あとがき。。。。。
ここでいう『家族』は、同じ仲間の事です。
狐やうさぎ、鹿や小鳥など、姿は違うけれど、楽しく遊んだりする仲間はいます。
けれど、その狐たちにはいる、同じ姿の仲間、『家族』は一匹もいません。
だからベーアさんは、心のどこかではいつも孤独を感じていました。
そこで、自分にも同じ姿の仲間、『家族』が欲しいと思い、
孤独を消すため、他の森へ旅だったのです。
幸運なことに、ベーアさんは家族を見つけることが出来ました。
そして、ベーアさんの孤独は、沢山の安らぎによって癒されたのです。
どこにでもあるような、ありきたりな話。
そう思った方もいるかもしれません。
けれどもし、この話で少しでも暖かな気持ちになれたり、
あぁ、家族に会えてよかったな。なんて思って頂ければ、光栄です。